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妖怪 お化けモグラの栗吉 其の伍

妖怪 お化けモグラの栗吉005

最近、ケツが痛ぇんだよ

ゼンマイ大亀の朱美はデカイ口開けて俺を食う気だ!耳を裂くような大声で鳴いて俺を威嚇してくる。

耳ないじゃん、って?いやだから耳自体はないけど一応穴みたいなモノがあって其処が一応耳なんだよ。

兎に角、デカイ声で吼えるもんだから俺はビックリして岩から飛びのいた。音波の威力で飛ばされた気もするが俺としちゃラッキーだ、そのまま落ちてコロコロと転がって行って丁度目の前に見えるヨモギの茂みに隠れられる。

俺は静かに転がりながら、さり気なくヨモギの茂みに身を寄せる。

このヨモギ、“沼ヨモギ”って言うんだがニオイはキツイが意外と成長してもそんなに背丈が大きくならない。いや、この亀公は目がぼんやりしか見えないからそこまで茂みに深く隠れなくてもいいんだが、一応しっかり見つかってるワケだから、それでも結構遠くに隠れないとマズイだろ?

頑張ってコロコロ出来るだけ遠くに逃げるように転がる。こんな時さ…ああ、俺が八頭身のカッコイイ姿だったらこの亀公と戦ってぶちのめしてやるのにな~って思うワケさ

いやさ、人間だった時どんなだったか覚えてねぇが、男はヒーローとかに憧れるだろ?男前で強くって優しくってさ…まあ、ヒーロー自体が想像上の産物だからな、実際にそんないい男なんて中々出会えないよ。え、俺か?忘れた★

気が付くと自然にヨモギの茂みに紛れていた。茶色の毛と泥が地味に混ざり合って目立たなくなっているようだ。当の亀公はニオイを嗅いで俺の居場所を探している。

ヨモギが周りにあるから、ニオイは紛れて解らないハズだ。これで亀公諦めて帰ってくれりゃいいんだが…どうやら久々の妖怪の御馳走だせいか、念入りにニオイを嗅いでいて中々諦めない。困ったな~…。

その時、一陣の風が走った。

疾風が走り去ったと思った瞬間、ケツに痛みが走ったんだよ!俺は更に転がってその場でグッタリした。大事なキセルだけは何とか離さず持っていたが、転がって仰向けに倒れた俺は、空を見上げる形になった。

見れば夕焼け、夕飯の時間だ、今日はゼンマイ入れての鍋の予定だったな。まあ今は俺が夕飯になりかけてるんだがそれより、俺のケツ…凄え痛えぇ!!

ヨモギの茂みにも隠れているし、亀公も中々諦めないようだし…運を天に任せて此処で少し寝るか。ケツの痛みもMAXになって来た。少し寝よう。だんだん意識が遠のいていく。

ふと、これで起きたら人間に戻ってくんねぇかな…なんて思ってる。

妖怪の暮らしもいいが、この食う、食われるの食物連鎖がスリル満点過ぎて俺はいつまでも慣れない。コンビニでオニギリ買ってた日々が懐かしいな…

生きてたらまた話そうや…(落)