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妖怪 お化けモグラの栗吉 其の四

妖怪 お化けモグラの栗吉004

怖すぎてただ震えるっての…!

“玄武”って知ってるだろ?ほら、四神で有名な南の朱雀・西の白虎・東の青龍そして北の玄武ってやつだよ。霊獣とか言われて神様として奉られてるだろ?

その中の玄武って霊獣、頭が龍で鱗があって、亀の甲羅に尻尾が二匹の蛇って言うお姿だ。だけど実は違うんだよ…玄武ってのは、大昔この妖怪の郷に迷い込んだ人間が、多分俺の後ろにいるだろうデカイ亀の妖怪に遭遇して驚いてそういう風に思ったんだとさ…。

迷い込んだ奴は運が良い事に、すぐにこの妖怪の郷から抜けて元の場所に戻ったんだがそれから周りの連中にデカイ化け物亀の話をしたそうだ、聞いた連中はその亀は神の使いで自分達に何かを伝える為に現れたんではないかと何故だか思ったんだと、その年は稀に見る大豊作だったようで、それから神の使いとしてこの凶暴な亀か崇められるようになったって話だ。

本当はこの郷に住む凶暴な妖怪で、この沼のヌシ「ゼンマイ大亀の朱美」なんだけど…

確かに頭は龍っぽくて亀の甲羅を持ってるが、尻尾のほうは二匹の蛇じゃなくてゼンマイの様なディティールの擬餌尾なんだよ…

要するに、この擬餌尾を使って此処にゼンマイを採りに来る他の妖怪を食おうと思っている寸法さ。俺も他の妖怪に教えてもらうまでは知らなかったが、知っちまうと神なんて到底思えないワケだ。

特に今なんて、真後ろにいて絶対食おうとしてるんだから、凶暴で知性の欠片も見当たらない単なるデカイ亀の妖怪にしか思えねぇよ!

ゼンマイ大亀に襲われるのは実はこの郷に来て今日で三回目だ。良く生きてたって思うだろ?実はコイツ、目があんまり見えねぇんだよ。その代わり嗅覚だけはやたら良くてニオイで獲物を探し当ててるようなんだが、このゼンマイの森には凄えニオイのきついヨモギが生えていて其処に隠れちまうと匂いが解らなくなるんだよ…俺もこの小さくて丸い体を利用してヨモギの群生してる場所に隠れて二回はやり過ごしてるのさ。

でも三回目の今…かな~り不利だよな…ってか、丸見えじゃねえか!

俺が座っている岩の辺りからヨモギの群生が見える。何とかあそこまで逃げれたら…でもこの状況じゃな~(泣)

奴は俺のニオイを嗅ぎ始める。あ~あ、ヨモギの葉を体にもっと擦り付けておくんだった。後悔は巡りめぐって「なんで、ゼンマイなんか採りに来たんだよ」って事に行き着いている。いやさ、灰汁抜いて鍋に入れると美味いんだ、マジで…

ゼンマイ大亀が一瞬退くフリをして直ぐにデカイ牙だらけの口をパカンと開ける。

今日の食事は俺らしい!こういう時に助けてくれる神がいれば俺は死ぬまで拝み続けるよ!助けてくれ~!!