万(よろづ)の妖怪記

ある日突然モグラの妖怪になってしまった俺。栗吉という名で妖怪として異世界で暮らしている。

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現実逃避したいとき…気付いたら妖怪になっていた!アナタならどうする?

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人間の生活は色々と複雑…良いこともあれば悪い事もある…ひょっとすると人によると

自分の人生はあまり良いものではないと思うかもしれない。

そんな時ふと、自分では無い ”何か” になりたいと思うことも…

そう思った矢先に自分が妖怪になっていたら?

実際になってしまった男の話をこれからしよう。

 

モグラの妖怪になっちまった俺の話

“変化(へんか)”ってのは、ある状態や性質等が他の状態や性質に変わる事だ。

俺にも“変化”があった、それはかなり突然だったけどな…

とにかく俺は、その“変化”のお陰で人間だった筈が、今はモグラの妖怪として暮らしている。

まあ、俺の場合は「へんか」って言うより「へんげ」の方が正しいか…漫画やアニメとかでよくあるだろ?妖怪変化の話って、まさか自分の身に起こるとは思わなかったけどな…驚くだろ?

妖怪に変化してゆく瞬間を何となくだけど覚えているぞ…他のヤツには一々説明するのが面倒臭いから、「忘れた」って言っているケドな。

それは確かスマホいじってた時だった、急に“ゾワリ”と全身に悪寒が走って思わず目を瞑ったんだ!

体中の毛穴が全部開いたような…そんな変な感じだった。暫くして徐々に悪寒が治まってゆっくり目を開けると自分の手が見えたんだが違和感を覚えた。ぼんやりしていたが手に茶色い毛が生えてる様に見えてはっとして慌てて目を見開いてしっかりと自分の手を見直した!

ビッシリと茶色で細かい毛の生えた小さい手が目に映る。もはや声も出ない…頭の中は真っ白。茶色い両手をただ、震えながら見ていたな…。しかも変化は自分の体に留まらなかった、妖怪に変化したと同時に全く別の場所にシフトしていたんだ。

それが今住んでいる「妖怪の郷」って言う場所なんだが、その時はワケも解らない。

俺が取った行動は“ふて寝”だ。いや、だって夢かもしれねぇだろ?寝て覚めりゃいつもの生活に元通り!めでたし、めでたしだ。でも、そうは行かなかった。どんくらい寝てたか知らないが、目覚めてもこの姿、何の変化も無かった。夢では終わってくれなかったのさ。

ふと、ある事に気がつく。

「あれ…俺、何て名前だっけか?」

その時は気が動転してたから、一時的に忘れたんだろうと思ってたんだが、さらに変化は古い過去も段々に消してゆくようだ…

妖怪の郷に住んで現在どの位になるかなぁ、二年、三年?結構住んでるけど居れば居るほど、“人間だった時の俺”の記憶は薄れていって、リアルなモグラの妖怪になってゆくような気がするな。

モグラの妖怪だって教えてくれたのは、此処に住んでる妖怪達だ。名前も忘れた俺に名前を付けてくれたのも妖怪達。

え?何で栗吉って付けたのかって、聞いたらどん栗みたいに茶色くて丸いからだと。

吉は語呂合わせのオマケらしい。単純で解り易いが、もう少しひねって欲しかったな~

まぁな…妖怪だって慣れれば気楽で良いし、人間だった時より心は穏やかに暮らせるのは確かだな。でもよ、何でも自力で食い物や住む場所を確保しねぇといけないんだよ。コンビニもスーパーも此処にゃ無いワケだし最初は戸惑ってばかりだったよ、俺は幸運な事に気さくな爺さん顔の妖怪に助けられて何とか此処まで生きて来れたがな。

一番のデメリットはこの小さくて丸い体だ。足も手も小さくて短いし、オマケに手はミトンみてぇで箸も持てないのさ。歩くより転がった方が早い。まあ、耳と鼻は普通だな。見た目には見えないが耳も鼻もちゃんと付いてはいるんだよ。

特に厄介なのはモグラって事だ。明るい場所、特にお天道様が苦手になっちまったよ。

眩んで小くて豆粒みたいな目が尚開かないから視界が狭くなって、前すら良く見えない。歩けば何かにぶつかり転んで怪我だらけだ。その対策に工作上手な妖怪に習ってすげ傘を自分で編むと、それを日除けに必ず被って歩くのさ。その姿はまさに傘被ったどん栗だ。勝手に俺のトレードマークになっちまったが、でも仕方無いな…明るい昼間はソレがないと仕事にもならねぇ。ま、日差しの強い間は大体昼寝してるよ、妖怪の特典みたいなモンだ。

今も夕飯のゼンマイを採り終えて一休みしている処さ。この沼地は湿気が多いせいか薄暗くてモグラの妖怪の俺には居心地いいんだよな。きっと人間だった頃はこういう陰気な場所は不気味がって嫌いで行かなかったろうが逆転の生活だよ。しかし、此処のゼンマイは養分がいいせいか馬鹿デカイな…それとも俺が小さいのか?この体になってから色んなモノが大きく見えてる。小さい生き物の気持ちが良く解るな…デカイヤツは危険だ!毒やら硬い棘があって食えないんだ。小さめのは苦くて不味いしかも煮ると溶けちまうから食う処が無い、中くらいのは毒も棘もまだ無くてかなり旨味が強い。最高だ!

大きすぎても小さすぎても駄目、何事も中くらいが一番だ。

とにかくさ、変化ってのは必ず人生のどこかで起こってるわけだ。ボーっと生きてると自分でも考えられないような変化に出くわす。心の準備なんてモンをさせてくれる余裕なんて変化は与えてくんねぇのさ。

でも、徐々に受け入れる心の準備はさせてくれる。時間の移り変わりが変化を受け入れる準備期間だと俺は勝手に思っているよ。

さて、これから先何が起こるのやら。

色々あります↓